がんと告知と心への影響

がんの告知を受けた人の心理学的な時系列での変化です。

がん告知を受けた人の多くは、今までに感じたことがない初めての「ショック」を感じた時と同じように

恐怖と不安→否定→怒り→落胆→回復

という心理状態をたどります。

もともとポジティブな性格だった方は立ち直りやすいのですが、ひとりで悩みを抱えがちだった方はふさぎ込み、生きる気力を失ってしまう傾向にあるようです。

悩み抜いた結果、抑うつ状態に移行してしまうケースも珍しくありません。  

そういう患者さんに対して、私は自分の経験からこう伝えたいです。

「自分ひとりではどうにもならないときは、仲間のところに行きましょう、話をしてみましょう」  

孤独にひとりで悩んでいては、どんどん世界が狭まってしまいます。

そもそも、個人の発想の範囲はかなり狭いものです。

それでは、いつまで経っても現状から抜け出すことはできないでしょう。

この心の変化は私と私の子供達が好きなスターウォーズの映画の一節にもありました。

その一節

“Fear is the path to the dark side…fear leads to anger…anger leads to hate…hate leads to suffering.”

和訳すると

「恐怖はダークサイドへの入り口だ。
恐怖は怒りへと導き、怒りは憎しみへと導く、そして憎しみは苦しみへと導くのだ」

マスター・ヨーダが若きアナキン・スカイウォーカーに説いた名言。

アナキンがダークサイドに堕ちた本質も
「恐怖心」が始まりでした。

誰でも恐怖は感じるもの。しかし、惑わされてはいけません。

打ち勝つのです。

私も例に漏れず、がん告知の後は、

「何で自分が、がんになるんだ」

「今まで大きな病気ひとつしてこなかったのに、健康に気を配っていたのに」

「2人の子供と二十歳のお祝いにラピュタ(仲町のショットバー)で一緒にお酒を酌み交わす約束をしたのに、その約束も果たせないのか」

不安から、怒りにも似た思いが何故か湧いてきました。

そんな時、その答えは
意外な人が教えてくれました。
まさにそのラピュタのマスターです。

実は入院する前日に入院前の飲み納めに仲町にあるダイニングバー「ラピュタ」に行きました。

オススメメニュー
「茶そばサラダ」
「麺少なめ野菜マシマシ」です。

マスターは、あるるん畑の野菜を使ってくれるので絶品です。
みなさんぜひお試しあれ!

絶品!茶そばサラダ

そんなラピュタのマスターの答えは、

「明美ちゃん(妻)の代わりに
先生ががんになったと思えばいいじゃん」


でした。

「そっか、明美ちゃんの代わりならまあ、いいか」

私はひとりでマスター特製のジントニックを飲みながら1人勝手に自然と腑に落としていました🍸

これもある意味で私がハローアルソン フィリピン医療を支える会の医療ボランティアで学んだ、

「できる人ができない人のために何かをする」

のひとつの形だったからでしょうか。

酔ってリラックスしていたせいもあるかもしれませんが、結果オーライです。

上手く気持ちを切り替えて、恐怖から怒りに移行せずに、明るく前向きにと言う心の持ちようにチェンジすることができました。

心が追い詰められて、自分でどうしようもないときには、

「時間を変えて、場所を変えて、人を変えてみる」

他の人に話を聞いてもらうこともひとつの解決方法なのだと思います。

皆様も、ダークサイドに陥ることだけはお気をつけくださいませ。

お後がよろしいようで。

「死」から「生」を見たとき

今までは、40代という年齢的にも「死」というものは遠い存在(身近な方のお葬式で感じるぐらい)で、「生」から「死」を見てみるとけっこう死は自分にとって離れて存在する感じでした。

今回、がんをきっかけに「がん=死」と「死」を一度、自分に近づけてしまい、「死」から「生」を見てみると意外と「死」を近くに感じてしまいました。

その「感じ」は今までに味わったことのない極度の「不安」や「恐怖」を生み出すこととなりました。

今回人生で初めて病院に入院してがんに関連した書籍、ブログなどから色々な方々の言葉や動きや人生を感じると深く考えることができました。

入院してから2週間がたちます。

真夜中にも救急車のサイレンが聞こえます。

外来におりると、手術後ベッドで移動して点滴につながれた患者さんとすれ違います。

売店に行くと、車椅子で点滴をしながらニット帽をかぶった小さな女の子がお母さんと一緒に楽しそうにお昼のパンを選んでいます。

3年前、自分の父が亡くなったときも中央病院の救急外来に来ました。
その記憶も蘇ります。

「がん」になったら、お終いだと思いました。

告知された日、私は少し泣きました。

ふと「死」を意識して震えました。

私が死んだら・・・子供たちは2人ともまだ学生。

病院のローンもあるし、スタッフを路頭に迷わせるわけにはいかないし。

どうしよう。

でも、姉さんも義兄も歯科医師だし、なんとかしてくれるかな。
そんなことを考えました。

一方で、こんなことも考えました。

楽になるのかな、と。

死んでしまえば、あらゆる煩わしさから解放されます。

習慣化した毎日のストレスからも解放される。

何の義務も責任も約束も負わないで済む。

でも・・・

50 歳前で死ぬのは子供に妻にスタッフに、そして患者さんに申し訳ない。

子供達とは、行きつけのラピュタ(ダイニングバー)のマスターと一緒に、お酒を酌み交わしながら成人を祝うことをとても楽しみにしていたのに。

私の思考はあちこちへ飛び、やがてひとつの考えに至りました。

私たちはいずれは必ず死にます。

だから、安心だともいえます。

なぜならば、死ぬまでは「生きる」のですから。

だから、死ぬことは考えなくて良いのです。

生きることだけを考えれば良いのです。

選択があるとしたら、「生きるか死ぬか」ではなく、
「どう生きるか?」しかないのだと入院生活をする中で感じることができました。

一度しかない人生です。
前向きに行きましょう、そして生きましょう!

抗がん剤による食欲不振対策:フレッシュ編

抗がん剤のシスプラチンが体に入ってから1週間がたちました。

その後、ずっと二日酔いにも似た倦怠感と食欲不振が続いております🤢

自分の唾液が常に「にがすっぱく」感じます💦

そんな時は、酸味のきいた氷菓子がお口の中をさわやかにしてくれます。

森永製菓アイスボックス 
グレープフルーツ味

オススメです!
味変に、三ツ矢サイダーを注ぐのも「アリ」です。
「ガリガリ君」にも、子供の頃以来にお世話になりました。

お口の中が落ち着きます。
当たりがでたら 、もう1本!☺

抗がん剤の点滴中は、丸2日間1日中点滴を入れています。
動きづらいですね。
普段の生活のありがたみを感じます。

抗がん剤点滴後1~2週間目のこれからが
どっと副作用の来るようなので、特に強く出ると言われる「味覚障害予防」
亜鉛錠剤を先生に処方してもらっています。(薬剤師さんにさすが歯医者さんですね、と言われました。)

亜鉛は、味覚異常予防にも免疫力アップにも効果がありますので、可能であれば、ぜひとも処方してもらってください。

「医食同源」です。
食べれないと免疫力あげれませんからね。
歯科医院でも病院治療でも「食事」による「予防」は大切です。

ただ、抗がん剤治療中は、副作用により食欲が全くと言っていいほど出てきません😢

ところで、栄養士さんに「食欲がなくても、カロリーだけは取ってください。摂取カロリーが減って体重が落ちると免疫力も下がってしまうので、最悪「経鼻管」で鼻から栄養を取ってもらうことになりますよ」

と、プチ脅しをされてしまいました💦

実際、栄養不足での免疫力低下による感染症がとても怖いので大切なアドバイスです。

胃がムカムカしたときに

そこで、私は、事前にカロリー摂取用で食欲がない時でも摂取しやすい「ウィダーインゼリー」を用意していたのですが、栄養士の先生的には「ウィダーインゼリーは、カロリーを取るには良いですが、糖質が多く栄養バランスをとるにはイマイチなので、バランスよく栄養成分が入っている「カロリーメイト・ゼリー」がおすすめですよ」と教えていただきました。

カロリーメイト・ゼリー

このカロリーメイト・ゼリーは、なかなか見かけませんので大きなドラッグストアーで探してみて下さい。

ただ、私的には、
病院食の「味変」には「紅ショウガ」が最強説
もオススメしたいです。

物足りない、病院の食事に
紅しょうがの「赤」と
タバスコの「赤」で、さっぱり味変を!

以上、味変には「赤」最強説!でした。

お後がよろしいようで。

抗がん剤と放射線治療の初期副作用

昨日は、いよいよ開始した抗がん剤(シスプラチン)と放射線治療の副作用がいよいよ出てきました。

今のところの1~3日目に出てきた初期の副作用は、倦怠感、実際にリバースはしていませんが🤢、吐き気、食欲不振、のどの荒れと言ったところです。

横になってのスマホは比較的大丈夫なのですが、起きてのパソコン作業はきつくブログの更新ができませんでした。

吐き気、食欲不振対策は、食感と匂いや食感、味などの問題だと思うのですが、缶詰のフルーツが受け付けなくなったので、ゼリーに変えてもらいました。
ゼリーにするととても食べやすくなります。
食事に関しては、我慢してストレスを溜めずに看護師さんに相談してみてください。

抗がん剤で食事が進まない方用のお食事にメニュー交換もしてくれます。(「さくら食」と呼ぶみたいで、しつこくないおかずにしてくれたり、軽く酸味をつけた食事だそうです。

通常の入院食
「さくら食」ご飯用の練り梅付きです。酸味が食をすすめます。
ぶどうゼリー🍇、ヨーグルトは、食欲出ました。のどの通りも良いです。

おかげで、今回は、食べやすくほとんど食べることができました。
抗がん剤を受けて食欲がわかない方は一度「さくら食」をお願いしてみて下さい。
わざわざ用意して頂いた管理栄養士さんの方にも感謝です。

のどの荒れの対処は、主治医の先生にトローチを出して頂きました。

バトル対象の口内炎は、1週間ほどたってからこれから出てくるようです。

あなどれません!

そして、1番具合の悪かった抗がん剤投与後の2日目は、気分転換に音楽を聞こうと思いましたが、歌詞が耳に入ってくるとどうしても倦怠感が強くなるような気がしました。
ということで、

「前奏がステキダネシリーズ」のご紹介。

第1位:希望の轍(サザンオールスターズ)

第2位:ガンダーラ(ゴダイゴ)

第3位:東京ラブストーリー(小田和正)

第4位:シャングリラ(電気グルーブ)

第5位:嵐が来る(ドリカム)

(番外編)今週のスポットライト:ロッキーのテーマ

です。

皆様も倦怠感が強いときは、上記の歌の前奏のみをお聞き頂けると、良いかと思われます。

まさに、「サビ抜き」ですね。

お後がよろしいようで。

がんと歯医者と歯周病

2021年7月

私(47歳、男性、職業:歯科医師)、初期の「中咽頭がん:頚部リンパ節転移」となりました。
2~3ヶ月ほど入院治療し、化学放射線治療を受けることとなりました。

現在はコロナ禍と言うことで、入院中は家族とも全く会うことができず、入院早々滅入っておりますが、入院中は口角を上げて、笑顔を作って免疫力を上げて完治をしたいと思います。

がん治療を受けるにあたり、私と同じ咽頭がんをはじめ、たくさんの方の闘病ブログを読ませてもらいました。

精神的にひどく落ち込み悲しんでいるとき、同じ病気で頑張ってる人の情報が欲しかったからです。

経験者の情報は何よりもありがたく、私自身も自分の治療方法の選択にも大いに役立ちました。

精神的な部分、がん治療中の生活面での苦労、工夫、知恵、こういうことは、お医者さんからの説明より経験者からの情報のほうが役立つことも多かったように感じます。

私自身、治療を受ける前に、できるだけ多くの正しい情報を知り、そして自分はどうするかの判断をしたかったのです。
「いいな」と思ったことは、どんどん取り入れてみたいと思いました。

その「恩返し」もしたいと思い、歯科医師としてがん患者として皆さんのお役に立つ情報を綴ってみようと思いました。

そのためにも、このブログでがん入院生活での気づきや、お役立ち情報を皆さんにユーモアも交えながらご提供できればと考えております。

よろしくお願いいたします。